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ついてない英雄　

アントニオ・ゴメス

獅子座
勇敢でプライドが高い。
海の英雄としてポルトガル国民から讃えられる。
航海中に、よく思いがけない災難に巻き込まれるらしい。
遭難生活で慣れたためか手先が器用である。
親友は変わった種類のゴリラ。

輝ける功績

船乗りの多くが海の出来事を過度に恐れ敬う、この時代。
ゴメスは持ち前の勇敢さと経験で養われた判断力とで、ポルトガル航海事業の幾多の試みに貢献してきた。
かのエンリケ航海王子が「暗黒の海」を乗り越え、ベルデ岬への道を切り開いた歴史的な航海でも、一人の船乗りとして活躍したという話もきいた。
なんでも、自らの危険をかえりみず仲間を助けたことで遭難し、空きビンに託した手紙で九死に一生を得たとのことである。

ついてない英雄

英雄と呼ぶに誰も異論を挟まぬゴメスであるが、彼は他の英雄たちとは少し違っている。
どこが違うのか？……彼は「ついてない男」なのである。
今回の長期に渡る遭難（本人はバカンスだと主張）も不運としか言いようがない。
他にもゴメス提督の不運の逸話は数知れないときく。
しかし、彼の災難話は少しも悲しくなく、それどころか不運を楽しんでいるようでさえある。
彼は言う。「人生に試練はつきもの、いちいち気にしていたらきりがない。」
どんな困難にもへこたれぬ不屈の精神は、災難を克服してきた彼の生き様の証明なのだ。「ついてない英雄」人々は敬愛をこめてゴメスをそう呼ぶのである。